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〇〇ちゃん、だめ!

前田亜由美


娘が2歳か3歳だった頃、

同じまめっこ庵でお会いする1つ上の男の子がいました。


犬猿の仲というか、いつも娘がやることに対して


「〇〇ちゃん(娘の名前)はだめ!」


娘は泣き、いちいち喧嘩になっていました。


ダメと言われる理由は、滑り台に登る順番だとか、

近づいてはダメと言われたりなどそんなことばかりだった気がします。


しばらく続きました。


あーやられたなーと思ったらその度に、私も一緒になって


「本当に嫌だよね、い~や~だ!」言い返したり

「あっかんべー!」

時には 「逃げよー!」


負けたくないという、子供の気持ちを応援して、

ずっと一緒になってぶつけていました。

小さな子供が自分一人で相手に立ち向かうのは少し勇気がいることかもしれません。


(「貸して」「良いよ」「嫌だ」等。。お友達との会話ひとつとってもそうなのでは。)


娘の、彼に対する態度が変わってきたなと思ったのが4歳の頃だったでしょうか。

相手に言われても動じなくなってきました。

挙げ句の果てに、だめー!と言って相手を負かしてしまう始末。


驚きました。気持ちをきちんと出したおかげなのか、

やられっぱなしではなくて心の中は徐々に変わっていたのだと。


その後、久しぶりに見た彼はすっかり小学生の顔つきで

2人が言い合いをする姿は見られなくなり、

その代わりに一緒に遊び、とても自然な存在に変化していました。

娘も(おかげさまで)ちょっぴり頑固で強気に育っています。


一人っ子の娘は、いつも私と遊んで安全な場所にいたので、

彼の存在はとても刺激的だったと思います。もちろん私もヒヤヒヤしました。

しかし、この一連の流れで実感したことが、

いろんな人との関わりと、少しの勇気、安心感を感じながら

自分という輪郭が作られていくのだということでした。


大人になった私も、本当の本当の気持ちというのはなかなか言えないことがあります。

小さい頃から、自分で自分を騙さずに、正直な気持ちに寄り添うこと、

この経験で、親である私も学び、実践しています。


これからどのように育っていくのか、楽しみです。

 
 
 

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Illustrated by Yukari Matsubara

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